前回の「その1」では肝心なZBrushについて解説しましたが、今回はZBrushでモデリングするために必要なハードウェアについて解説します。
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ZBrushに必要なハードウェアについて
ZBrushでモデリングを行うために必要なハードウェアは以下となります。
- PC(Windows or Mac)
- モニタ
- ペンタブレット
モニタはノートPCなら不要ですし、デスクトップPCを使用していれば必ずモニタは使用しますので、そういう意味では基本的に必要なものはPCとペンタブレットの二つということになりますね。
PCについて
PCはWindowsでもMacでもどちらでもOKです。
もし今現在自宅でPCを持っているなら、新たにお金をかけずともそのPCをそのまま使える可能性もありますので、何はともあれまずはZBrushの動作が可能なスペックかどうか?を確認しましょう。
下記の表がZBrushの動作に必要なPCのスペック(推奨動作システム)です。
項 目 | Windows | Mac |
OS | 64-bitのWindows 7/8/8.1/10 | MacOSX 10.11以降(注) |
CPU | Intel i5/7/XeonもしくはAMD社の同等品 | Intel i5/7/Xeon |
システムメモリ | 最低8GB(数億ポリゴンを扱う場合16GB以上推奨) | 最低8GB(数億ポリゴンを扱う場合16GB以上推奨) |
記憶装置 | 作業用として100GBの空きスペース (ZBrush作業用ドライブにはSSDドライブ推奨) | 作業用として100GBの空きスペース (ZBrush作業用ドライブにはSSDドライブ推奨) |
ビデオカード | 基本的にはどのタイプでもOK | 基本的にはどのタイプでもOK |
今どきPCを持っている方は、大方上記のスペックに当てはまるPCをお持ちではないかと思いますが、それでもかなり古いPCしか持ってないという方の場合、下記の最小限の動作スペックというのもありますので、こちらに当てはまるかどうか?確認してみて下さい。
(もうここまで行っちゃうと、今PC持っている(=実際に普段使っている)人だったらほぼ全員が対象に入れるレベルじゃないでしょうか)
項 目 | Windows | Mac |
OS | 64-bitのWindows 7/8/8.1/10 | MacOSX 10.11以降(注) |
CPU | 第2世代Intel Core 2 DuoもしくはAMD社の同等品 (SSE4対応必須) | 第2世代Intel Core 2 Duo以降 (SSE4対応必須) |
システムメモリ | 4GB(6GB以上推奨) | 4GB(6GB以上推奨) |
記憶装置 | 作業用として8GBの空きスペース | 作業用として8GBの空きスペース |
ビデオカード | 基本的にはどのタイプでもOK | 基本的にはどのタイプでもOK |
私は当初MacBook Pro 13インチ Late2013にZBrushCoreをインストールして使ってました。このMacBook ProのCPUはIntel Core i5(2.4GHz)でメモリは8GB、記憶装置は256GBのSSDで、ビデオカードはIntel Iris 1536MBというそれほど大したグラフィック能力ではないものでした。
ZBrushはCGグラフィック系のソフトということでグラフィック能力が高くないとダメなんじゃない?と普通は思いますが、グラフィック能力は特に気にしなくていいんです。
それよりもCPUの能力に大きく影響するので、極力CPUの能力が高いPCを使用した方がいいということです。
さて、私のMacBook Proではどうだったか?というと、このMacにZBrushCoreをインストールして使っていたんですが、基本的にはほぼ問題なしでした。
ただ、普通に作業している分には全く気になることはありませんでしたが、負荷の重い作業(注1)を行なった時のみソフトが落ちたりしてました。
(注1) 以前記載した「Zスフィア」でザックリ形を作った後にスカルプトできるようにするための変換作業(アダプティブスキンっていうんですが)を行うとかなりの確率でソフトが落ちてました。
しかし、「お試し」レベルでZBrushCoreMiniを使ってみる、ということであれば最小限の動作スペックのPCであったとしても試してみることをお薦めします。
だって、お金をかけずに試せるんですからね。
ただ、お試しであってももう一つ絶対に必要なものがあるんです。


ペンタブレットについて
ZBrushの操作(作業)は絵を描く感覚に似ていて、「線を引いたり」「塗ったり」、更には「力の入れ加減で濃くなったり薄くなったり」といった、ペンを使って絵を描くような感覚に似た操作になるため、お絵かきソフトと同様にペンタブレットは必須アイテムになります。
3D CADに代表されるように3D CGソフトはマウスで操作するイメージを持っている方もいるかもしれませんがZBrushは違います!
粘土をコネコネして感覚的に形作っていくというZBrush の操作には感覚的に操作可能なペンタブレットがベストマッチなんですね。
それではどんなペンタブレットを使えばいいんでしょうか?
ペンタブレットには大きく分けて以下の2種類があります。
- ペンタブレット( "板タブ" )
- 液晶ペンタブレット( "液タブ" )
最近では一般的に「板タブ」「液タブ」とそれぞれを呼んでますので、通っぽく是非そう呼んで下さい。
「板タブ」と「液タブ」は操作用の入力装置としての性能は(グレード等による差はありますが)基本的にほぼ同じと考えて間違いありません。
但し、使い勝手と(それに伴う)価格は全然違いますので、その辺をよく理解した上で選択した方が絶対いいです。
”板タブ” ってどんなペンタブレットなんでしょうか?
元々はペンタブレットといえばこの「板タブ」でした。

写真のような「板」の上で専用のペンを走らせて入力を行います。
表示はPCの画面上になりますので、普段紙にペンで書く感覚とは少し異なり、画面を見ながらペンで書くという実際に書いている場所と違う画面を見ながら書く形になります。(「板タブ」の上には何も表示されませんし、ペンで書いたものも表示されないので手元を見ながら書く意味は無いのですが)
まぁ、キーボード入力で言えばキーボードを見ないで画面を見ながらブラインドタッチしている感じでしょうか。
「板タブ」では、この書いている手元と表示される画面とが異なるので、この感覚に慣れるまで少し時間がかかります。
特に最初にペンを書き始める位置に持ってくる時や、線の角度のイメージがつきづらい等ありますが、ペンをタブレット面に近づけるとカーソルが表示されますし、角度も(デジタルの良さで)何度でも思う通りになるまで線を引き直せますし、それを繰り返している内に感覚も掴めるようになるので、しばらく使っていればほぼ違和感なく使えるようになると思います。
あと、「液タブ」に比べるとサイズ的にコンパクトなものもありますので、スペース的にも最小限のスペースで済むという部分もあります。
ただ「板タブ」のメリットは何と言っても価格ですかね。「液タブ」と比べると圧倒的に価格は安いです。
価格はタブレットのサイズや性能(筆圧、ペン入力の分解能等)にもよりますが、1万円以内で十分購入できますし最近ポピュラーになってきている「中華タブレット」と言われる中国や台湾メーカー製のタブレットであれば数千円(3,000円くらいから)のものもありますので、お試しレベルでも購入できるんじゃないでしょうか。

”液タブ” ってどんなタブレットなんでしょうか?
「液タブ」とは「液晶タブレット」の略称で、「板タブ」の板の部分が液晶モニタになっていて、この上に専用ペンで直接書けるんです。
アップルのiPadに代表されるタブレットや、最近ではタブレットPCも一般的になってきてますのでイメージはわかりますよね。

「液タブ」には基本的に別途PCは必要で、液晶モニタにタブレット機能がついたものと考えて貰えばいいと思います。
「液タブ」の最大のメリットは「板タブ」と違ってタブレットに表示された画面に直接書き込めるということで、普段紙に絵を描くのと全く同じようにできることです。
この素晴らしさは双方を体験したことのある人でないとなかなか分かりづらいと思いますが、機会があれば一度パソコンショップ等で展示されている「板タブ」と「液タブ」の双方を触ってみて下さい。
但し、何と言っても「液タブ」の最大のネガティブ(?)ポイントは価格ですね。
ひと昔前の「液タブ」は安くても10万円台という趣味で使うレベルの庶民にはとても手の出せる代物ではありませんでしたが、最近では「中華タブレット」の波が押し寄せてこの世界にも嬉しい価格破壊が起きてるんです。
性能によっても価格は異なりますが、「中華タブレット」では画面サイズが13インチクラスで30,000円台、16インチクラスで40,000円台という感じで、十分ターゲットに入られる価格になってきていると思います。
いきなり「お試し」レベルで「液タブ」購入は無いと思いますが、「お試し」から本格使用に移行する場合には検討する価値は十二分にあると思いますので、「お試し」を始める方は同時に「液タブ貯金」もされることをお勧めします!

ペンタブレットのメーカーについて
ペンタブレットのメーカーは最近かなり多くなってますが、色々な方々の記事や一部私自身が使ってみた感じから下記の3社から選んでおけば大きな間違いはないんじゃないかと思います。
日本メーカーのワコム社はペンタブレットでは世界的に有名かつプロのクリエーターならほぼ間違いなく使用しているであろう老舗中の老舗メーカーで、価格はお高いですが選んでおいて絶対に間違いはありません。
ワコム社の液晶ペンタブレットはプロユースの高性能の機種は数十万円とまだまだお高いですが、最近では(中華タブレットに刺激されて??)かなりリーズナブルな製品が出てますので(といっても趣味で使う分には仕様・性能・信頼性は十分です)、中華タブレットと比較しても選択肢に余裕で入ってくると思います。
XP-PEN社は日本発祥で台湾企業が親会社になり、現在では中国企業の傘下にあるメーカーですが、ワコム社に次ぐ歴史があり日本国内ではワコム社に次いで第2位のシェア(2020年時点)を持つメーカーですので、中華タブレットといってもそれなりに信頼性のあるメーカー・製品だと言えると思います。
私も以前MacBook Pro + ZBrushCore にXP-PEN社の液タブを使ってました。当時(2015年頃でしょうか)はワコム社の同等製品(16インチクラス)と比べると価格は半額(以下)でしたので、迷うことなくXP-PEN社の液タブを購入しました。
使用感(品質的なことも含めて)は全く問題無く結構快適に使えてましたので、コストパフォーマンスは非常に高い製品だと思います。
HUION社は中国(深セン)のメーカーで、こちらもペンタブレット(特に液晶タブレット)では日本国内でもポピュラーになっており、タブレット関連のWeb記事でもワコム社、XP-PENと並んで紹介されたり、比較されたりすることが多いです。
こちらも漏れなく価格は非常にリーズナブルで、13インチクラスの製品では30,000円を下回ったものもありますので、液晶ペンタブレット導入の敷居を大きく下げてくれる存在だと思います。


最近ポピュラーな「タブレットPC」ってどうなのよ??
さて、ここまで記事を読んでいただいた方にはこの疑問がモヤモヤと湧き上がってきたのではないか?と思いますが、そうです、鋭い!!
「タブレットPCだったら、それ1台だけあればいいんじゃないの?」 ということですよね。
Surfaceのような「タブレットPC」はPCとタブレットとが一体化しているものですのでこれ1台でZBrushを使うことができます。
当然、仕様的には先に記載したようにZBrush の動作要件を満たしていないといけませんが、「動作する」という意味では問題無いでしょう。
(快適に動作するかどうかはCPUの性能次第ですので、そこはお忘れなく)
ということは、Surfaceを持っている方であればとりあえずZBrushCoreMiniをインストールして「タダ(無料)で」ZBrushのお試しができてしまうということですね!(「お試し」といってもZBrushCoreMiniでも作品は作れますからね。最初はこれだけでもいいかもしれません)
ということで、PCさえ持っていれば最低限の投資でZBrushを「お試し」できることがわかっていただけたのではないかと思います。
(PC持ってない方はSurfaceの中古を購入する、というのもありかもですね)
もし、私のZBrush習得奮戦記を読んでいただき、「自分もちょっとやってみたいなぁ」と思われたあなた!是非この記事を読んで「お試し」をお試ししてみて下さい。
